〈スタッフインタビュー〉手錢和加子

合同会社HAPON/創設メンバー/アドバイザー

Q.HAPONを立ち上げようと思ったきっかけについて教えてください

当時私は勤務していたギャラリーから独立し、アートマネジメントの事業を立ち上げたところでした。丁度その頃一緒に仕事をしていた彫刻家の大平龍一さんから、「新宿のビルの屋上にパブリックアートを作る話がある」と相談され、一緒に話を聞きに行ったのが栗原との出会いです。

結局そのパブリックアートは実現しませんでしたが、その時に下のフロアも空いているから見に行こうとなって。そのスペースで何ができるかを話し合った時に、「同世代で仕事をしている人たちが集まれるような場所」が出てきました。そこからシェアオフィスという方向性に、皆が向いていきました。

当時はシェアオフィスというものが、ちらほらと出てきていた頃でした。基本的には自分たちが面白いと思ったものは周りもそう思ってくれるはずという意識で、ビジネスとしてのシェアオフィスについてはあまり考えていなかったんです。だからサービスやソフト面はその後(オープン後)の方が大変でした。歴代のフロントスタッフにもすごく助けられました。

 

Q.HAPONの中でのこだわりはどこですか?

準備の中で話に上がっていたのは、「HAPONという空間自体が利用者に何かしらの意識を働きかけるような、そんな仕掛けをもつ場所にしたい」というものでした。それは立ち上げ期間中に東北大震災を経験し、東京も一気に変わっていく中で、この場所で何ができるかを考えた結果でもあります。

その繋がりでいうと、内装がもつ力はとても大きいと思っていて。私が主に担当した、家具や素材の選定にはすごくこだわりました。

こだわりと言っても、単にデザイン性だけの話ではありません。例えばHAPONの壁は珪藻土で塗られたものですが、壁一つをとってもどうしてその素材にするのかという理由をきちんと考えて選びました。椅子も、中古でもいいから良い椅子を一つ一つ選んだり。

自分のいる空間が誰かの手で大事に作られたものであると、そういった意識をとても大事にしました。

Q.HAPONにどういった場所になってほしいですか?

カフェや自宅で仕事をしているだけでは出会えないような人に出会える場所であってほしいです。友人とも仕事相手とも違う、新しい「人とのつながり方」がある場所。

私自身がずっとアート畑で仕事をしてきた人間なので、違う業界の方と会って話をしてみたかったというのもあります。

Q.推し地方を教えてください

やっぱり地元でもある島根県の出雲ですかね。新幹線も通っていないので、ずっと昔から変わらない風景が残っています。

海も山もあって、食べ物も何でもおいしい。ただ山陰地方は日照時間の少ない地域なので、特に冬場は。なので東京に来てからは、冬でも日差しがあることに衝撃を受けました。洗濯物が外に干せる!って(笑)

(編集:多保田)